筆者とは別の学部で、この実習の授業以外では顔を合わせることがなく謎の多かった彼女。お互い少し緊張して交わした、よろしくお願いしますという挨拶から語ってもらったのは、彼女の生み出す言葉の魅力と好きなアーティストへの熱い愛。それと共に見えたのは、彼女の温かい人柄だった。

気付いたのは言葉がもつ魅力

━━小川さんって今どんなことを学んでいるの?

「一応音楽コースやから二年生の時はDTMとか音楽理論とかしたりしてて、今はちょっとそういうのから離れて、イベントの企画、ワークショップ企画とか、イベントの運営を中心に学んでいます」

━━私、小川さんの書く記事の文体がめっちゃ好きやなって思っていて、この授業を取ったのは文が書きたいから?

「うん、それもちょっとあるかも知れん。二年生の時にコピーライティングの授業取ってて。写真一枚あったら、そこに何かキャッチコピーを考えるみたいな。そこで言葉がすごい面白いなって。向き合うのが面白いなって思って。元々そんなに文書くのも嫌いじゃなかったから。それもやし、なんか「御草怱」を見て、私それがめっちゃ大好きな感じやって、こんなんできたらいいなぁって」

包み込む声と優しい歌詞

━━記事にも書かれていたハナレグミの永積崇さんの魅力を教えて欲しいなって

「私はもうほんとに、ほぼ声が好きなんですけど」

━━うんうん。声が一番?

「歌詞も全体的にもう優しくて、最近の曲って作文系?なんていうんやろ」

━━なんか結構文章っぽいってこと?

「そうそう。そういうのが多いって私は思うんです。もちろん私はそういうのも好きやし、バンドとか邦ロックとかも大好きなんですけど。ハナレグミの書く歌詞はなんか抽象的、ストーリーじゃない。これ一回ハナレグミのライブに行った時に言ってはった言葉で曖昧なんですけど、最近は動画を描写してる人が多いけど、僕は一枚の写真を見て描写している。ってこと言ってはって。確かにそういう曲と歌詞やから好き」

大人になった自分と永積崇

━━小川さんが永積さんを好きって自覚したきっかけってあります?

「それこそ両親が音楽好きやから結構昔から色々聴いてて。中学くらいまでは親が聴いてる曲を自分も聴いてるみたいな。でも、スマホを持ってApple Musicのアカウントを持ったときに、自分で選ぶじゃないですか。ハナレグミの曲を調べて聴いてるときに、そこでちょっと自分が大人になってるから歌詞の意味とか考えて聴くようになって。そこでよりめっちゃ好きってなりました」

━━永積さんからめっちゃ影響受けたなぁって思うことある?

「永積さんの性格とかそんなにわからへん部分あるけど、すごい優しい人ではあるなと思ってて。喋り方とか。言う言葉、単語とか歌い方とか優しくて。そこはちょっと影響受けてるかもしれないなって思います」

━━すごいめっちゃ良い影響受けてる

「いや多分そんな、実行はできてないかも知れんけど優しい言葉を紡ぐようにしたり、なんかそういうようにはなったかも知れない」


彼女の文を読んで惹きつけられるのには、永積崇さんから繋がった優しくて温かい言葉のエッセンスが、文のそこかしこに散らばっているからだろう。私も同じものを聴けばこうなっただろうか? いやきっと違う。この魅力は、小川あびるにしか出せないものなのだ。(聞き手:藤井遥)