喫茶店。よく耳にする言葉だが、明確な定義は知っているだろうか。私は知らない。喫茶店大好きだけど、知らない。カフェとは何が違うのか、知らない。

 調べてみたところ、昔は法的な区別があったらしいが、今はもう、店名やメニュー、外観などのイメージの違いでしかなく、はっきりとした区別はないのだそう。知らなかった。結局はイメージの違いらしい。何も言えない。

 それなら、私が喫茶店というものに惹かれるのはなぜなのか。ああ、確かにイメージの違いかもしれない。

 喫茶店は醸し出す雰囲気がとても独特な気がする。私にとってカフェという場所は、「部屋着ではいけないな。何かきれいな格好をしていかないと……。今日はすっぴんだしやめとこ」と思ったりしてしまう、少し敷居の高いものなのだが、喫茶店はそんなことも考えさせない、何事も許容してくれそうな落ち着いた雰囲気を纏っている。チェーン店というものがあまりなく、それぞれの喫茶店がそれぞれの味を出し、良さを放ちあっていることこそが、とても魅力的なのだ。メニューの内容は似たり寄ったりでも、そのお店の「味」があるし、昔ながらのレトロな雰囲気漂う建物で、硬めのプリンとナポリタン、クリームソーダやコーヒーをゆっくりじっくり楽しむのが良いのだ。
 

 たとえば「喫茶ゾウ」。ここは、ずっと行きたかったけど、なかなか行けていなかった喫茶店。7/1にリニューアルオープンすると知り、「リニューアル前に行きたい!」と思っていたところ、たまたまその日の授業が早く終わったので、滑り込みで入店。
2019年に以前の喫茶店を引き継ぎ新しくオープンしたお店でありながら、店内には常連さんやおばあちゃんとお孫ちゃんなど地元のお客さんが多く、とてもアットホームな雰囲気に包まれていた。大好きだ。私はクリームソーダとアボカドトーストを頼んだ(プリンとちゃうんかい)。この店の看板とも言える、クリームソーダに乗ったゾウのクッキーが何よりも美味しくて、どこにでもあるクリームソーダが一気に「喫茶ゾウ」だけのものになっていた。
建物のレトロさからも感じ取ることができる親しみやすい雰囲気に、独自のチャーミングなアレンジレシピ、もう一度来たくなるような接客、それら全てが「喫茶ゾウ」が愛される理由なのだろうと、実際に足を運んだことで感じることができた。また行きたいと思える場所だった。

 1人で静かに本を読むも良し、友達とお喋りするも良し(お店によるが)、人間観察するも良し、何もしないも良し。喫茶店はなんにも考えずにふらっと立ち寄ることのできる、みんなの「居場所」なのだ。実際に「喫茶ゾウ」は、駅から15分ほど歩いた、住宅街の中に突然現われた。ふらっと立ち寄りやすいのは、そのような立地もあるのかもしれない。

 私たちの日常に溶け込んで、そばでそっと、ずっしりと支えてくれる喫茶店。街中にある喫茶店と住宅街の中にある喫茶店、大きな喫茶店と小さな喫茶店、それぞれどんな魅力があるのか。まだまだ広がる喫茶店を発掘していくことにとてもわくわくする。