保存会に大学が関わっていることについてどう思っている?
◉今まで僕たちと一緒に練習やイベントをしてきたと思うんですけど。これからも後輩が入ってきて、関わっていくと思います。その上で保存、継承に関わる学生にお願いしたいことや役割を聞かせてください。
岡本:そうですね。技術的な問題でサポートしてもらえたら助かります。前に大学で展示されてたように、色々な資料を作ってもらったりとか、チラシを作ったりとか、そういうのを作っていただけると我々も嬉しい。そういう知識とか、技術的に若い人たちが持ってるようなところをぜひ発揮していただきたいなというのがひとつと、もう一つは全体的に会員が高齢化してきてるから、若い人たちが入ると活気が溢れて盛り上がる。
◉うんうん。
岡本:お年寄りばかりで歌って踊っていても若い人が入ってこれなくて(笑)。雰囲気が非常に閉じた集まりに見えちゃって、敷居が高くなるんだよね。でも、学生さんが入ってくると若い人がすっと入れる。 若い人が入ると、今度は子どもたちが入ってくる。子どもたちが入ると、その親の世代が入ってくる。だから、学生さんが入ってくると呼び水的な効果があると思うんだよね。
◉ 一乗寺フェスが、まさにそのかたちになっていて楽しかったですね……。外部との交流の話で少し気になったのですが、鉄扇踊りに対して海外から視線を送られることはどう思われてますか?
岡本:すごく良いと思いますね。我々は「この地域」というレベルで見るんだけど。海外の人が地元密着型の芸能をどう見てるのか気になるね。
◉そうですね。確かに。
岡本:是非聞いてみたいなと(笑)。そういえば、八朔祭で我々がやった時に外国の方が見学に来てたのよね。
◉来てましたね。ご夫婦二人で。
岡本:そうそう。あの日は岸野さんがそのドイツ人のご夫婦と喋っていて、すごい興味を持ってるっていう話を後で聞いたけど、どういうところに興味を持ったのか知りたいんですよね。「なにを面白いと思うか」とかね。我々はそこまでの交流ってまだ行ったことがないからさ(笑)。
◉はいはい。
岡本:今の大学では、「地域とのつながり」を重視してるんだよね。でも「村おこし」や「町おこし」とは違った意味で「ただ賑やかにする」だけではなく、もう少し根を下ろすことを大学に意識してほしいと思います。歴史をどう見るか、地域性をどう見るか、あるいは音楽とか。踊りは身体表現芸術だから、大学はそれを理論的に深める力があるよね。
◉そうですね。
岡本:大学が地域のまとめ役としてやっていくと、参加した学生もコミュニケーションを取ったり、企画を作ったりして勉強になると思うんだよ。今回のこれも一つの事例だと思うんだけどね。ウェブサイトを作って共有することは保存していく上でのやり方かもしれないよね。我々はどちらかというと口コミでいくけど限度があるからね。
◉そうですね。
岡本:SNS があるからうまく活用して、知らなかった人に鉄扇踊りを知ってもらって、興味を持ってもらうとか。我々の経験だけではなくて、成功例とか失敗例とかを蓄積して経験をまとめていく。「このやり方を取れれば、その地域に残る文化が将来発展させられるんだ!」みたいな。そういうものが出てきたら、面白いと思うけどね。
◉確かに。珍しい文化は残していくべきだと思う反面、残すことは難しいことだと思うので。理論や経験を作って、他地域の保存会の人たちにも参考になれればいいと思います。
岡本:我々はある程度オープンにしているので、抵抗感なく入れるから。 そこを取っかかりにして、次は紅葉音頭を調べるとか。今、話せるのはこれぐらいかな?
◉はい、そうですね。大丈夫です。ありがとうございました!
岡本:ありがとうございます。
渡辺:いろいろとありがとうございました。
あとがき
インタビューを行ってお二人は私たちの質問に親身になって耳を傾け、丁寧に応えてくれた。中でも印象に残ったのは岡本さんの「次の世代に移すために少しアレンジする必要がある」という言葉だ。この言葉を聞いて、普段から次世代に文化を継承するにはどうすれば良いのか考えていないと生まれてこない意見だと感じた。「継承」をするためには現代版へのアレンジが必要。「保存」のイメージが「そのまま保つ」だった私は目から鱗だった。このインタビューで渡辺さんと岡本さんの「保存」と「継承」に対しての並々ならぬ熱意を再確認することができた。
文責「街と人と音楽とゼミ」






