始めての鉄扇音頭練習会

廣田征己(メディア表現学部)

大学でゼミに入り「鉄扇踊り」という見たことも聞いたこともないような踊りに始めて出会った。物価は日を追うごとに上がり続け、少し前の感覚で買い物をすると目を覆いたくなるような金額になってしまい大学生には辛い現状にある。

今までの人生で盆踊りに携わるような経験をしてこなかった。地元の祭りで江州音頭という盆踊りをしているのだが、自分は遠目で見るどころか興味すら持たないレベルだった。他にもエピソードを出したい所だがもうすっからかんになってしまった。練習会の場所は一乗寺にある薬師堂という場所。向かう最中なかなかに傾斜がある坂が多く、運動不足の私はエベレストにでも登っている気分になる。そうして同じゼミの仲間と談笑しながらなんとか着いた。中に入ると鉄扇踊りの保存会の方が待っていてくださり、お茶やいろいろなお菓子をくださる。とてもありがたい。

しばらくして踊り手の方たちが来る前に音頭取りの方たちが音頭の合わせをする。ここでこれを読んでいる人たちに質問です──盆踊りと聞いてどんな伴奏を想像しますか?──おそらくテンポの良い音頭とお囃子だと思います。私もそう思ってました。しかし、音頭取りの方たちは「ひぃさーかぁたぁーのー」とゆっくりとしたスピードで、太鼓も三味線もなく、歌のみで音頭をとり始めたのです。一緒にやろうとするけれど、独特なリズムと音程で口ずさみたくても出来ない。人間は自分の想像を超える場面に出くわすと感情が出て来るのではなく無になる。横を見てみると他のゼミの仲間も呆気に取られており、ここで私の今までの盆踊りの常識が崩れ去った。そうして音頭の合わせが終わり休憩の時間。保存会の方たちが私たちに一般的な盆踊りとは違うことや、この後に踊る踊りについて少し話しかけてくださった。

そして私は考えた。この音頭でどうやって踊るんだ?

この日記では踊りについては扱わないが、今までになかった刺激をもらいとても興味深かった。そして、これを読んでいる人はこう思ったでしょ。「こんなんじゃ分かんねーよ」と。そんな人は是非、鉄扇踊りについて調べてみて欲しい。