はじめに

このウェブサイトは、京都精華大学メディア表現学部「街と人と音楽と」ゼミの学生が京都市左京区一乗寺に古くから伝わる京都市指定無形民俗文化財「一乗寺鉄扇」の過去と現状を記録し、その先を考えるキッカケとするために立ち上げたウェブサイトです。

「街と人と音楽と」ゼミでは毎年3年生が一乗寺の街に入り込み、「響き合い」をキーワードにふたつの班に分かれて活動しています。そのなかで私たちの班では、一乗寺鉄扇の保存と継承に取り組む「一乗寺郷土芸能保存会」の活動に参加して、定期的に行われる練習会や地域イベントで鉄扇踊りを行ってきました。

私たちが活動をする上で見えてきたのは「保存と継続の難しさ」でした。楽器を一切使用せず、声だけの音頭と拍が揺らぐ独特な踊りで構成されている一乗寺鉄扇。この伝統的な形を崩さず、地元の人々に愛される手段はないのか。伝統を途切れさせず一乗寺にしっかりと根付かせる方法はないのか。次世代にわかりやすいかたちで継承できないかをみんなで話し合った結果、この一年の活動を統括するかたちでウェブサイトを作成することになりました。

このウェブサイトには、大きく分けて「一乗寺鉄扇について」、「保存会について」、「ゼミについて」が書かれています。

一乗寺鉄扇について」では、約300年ほど続いている鉄扇踊りの歴史や特徴、失われた歌と今も継承されている歌など、私たちが活動してきた一年間でわかった一乗寺鉄扇の詳細をくまなく記しています。

一乗寺郷土芸能保存会について」では、昭和62年に設立された「一乗寺郷土芸能保存会」の現在までの歴史や保存会の年間スケジュールなどを記載しています。さらに、保存会の方々にインタビューをし、保存会の中の人がどのような気持ちで活動を行っているのか、異なる立ち位置から見た4つのインタビュー記事を載せています。

『街と人と音楽と』ゼミについて」では、私たちの所属している「街と人と音楽と」ゼミの活動方針やこの一年間で行ってきたことを載せています。このゼミを担当している岸野雄一さん、グラフィックデザイナーの奈良絵里子さん、わたしたち学生をはじめ、鉄扇踊りに関わるメンバーがそれぞれ主観的に見て感じたありのままを綴ったエッセイ「主観的鉄扇日記」も載せています。

このウェブサイトを通して「一乗寺鉄扇」に対して少しでも興味を持ってもらえると嬉しいです。いつか一乗寺の街であなたに出会えることを楽しみにしています。

一乗寺鉄扇インタビュー

一乗寺鉄扇踊りの練習会に参加している皆さまにお話を伺ってみました。

中川さんと奥村さん:12月某日、お釈迦さまが祀られている釈迦堂で鉄扇踊りを長年支えてきた踊り手の中川節子さん、奥村喜代子さんにインタビューをした。お二人が幼い頃に体験した踊りとの最初の出会いから、念仏踊りやハミダ踊りがまだあった時代の記憶、鉄扇踊り保存会が立ち上がった背景、そして現在の活動に至るまでの歩みを伺った。

渡辺さんと岡本さん:2025年11月26日、私たちは鉄扇踊りの練習の場でもある一乗寺薬師堂で、保存会の会長 渡辺 博さんと副会長と事務局を担う岡本 和男さんにインタビューを行った。鉄扇踊りを支える重要なポジションのお二人が文化の「保存」と「継承」に対してどのようなことを考えているのか、昔と今の時代背景と共に聞いていこうと思う。

ヒデドンさん:11月26日私たちは一乗寺のとあるカフェでヒデドンさんにインタビューした。ヒデドンさんは盆踊りが大好きで正しく踊るよりも、楽しく踊ることに重きを置いている。私たちは、盆踊りに詳しいヒデドンさんから見た鉄扇踊りはどのようなものか、また大学としてどのような姿勢で取り組むべきかが気になりインタビューを聞いていた。

渡辺直子さん:12月下旬。朝から冷たい雨が降る中、一乗寺の喫茶店にて。
渡辺直子さんは保存会のメンバーの中でも若くまだ歴も浅い。地域の盆踊りというものの存在をどう捉えているのか、まだ小さいお子さんを持つ渡辺さんの生活の中で鉄扇踊りがどのような役割を果たしているのか。彼女の新しい視点からこれからの鉄扇への想いを語ってもらった。

主観的鉄扇日記

「街と人と音楽と」ゼミのメンバーや一乗寺鉄扇の練習会に参加する方々に、一年間の活動のフォーカスとなったさまざまな瞬間になにを思っていたかを、自己エスノグラフィー的な手法を使ってごくごく主観的に記述してもらいました。